【パブコメ】第6次エネルギー基本計画策定に向けた意見

2021年10月4日

資源エネルギー庁長官官房総務課 宛

主婦連合会

第6次エネルギー基本計画策定に向けた意見

 

<意見1>

■意見の該当箇所

5.2050年を見据えた2030年に向けた政策対応

(1)現時点での技術を前提としたそれぞれのエネルギー源の位置づけ ②原子力
(6)原子力政策の再構築
(13)2030年度におけるエネルギー需給の見通し

その他全体

■意見

原発再稼働の方針を廃止へと見直し、即時原発ゼロ実現の方針に基づく計画に修正してください。

■理由

福島第一原子力発電所事故を経験した日本として、原子力に頼らない社会を率先して構築すべきです。P34、1097行では、原子力について、「準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。」としていますが、このような記述は、下記の通り、客観的事実を踏まえていません。

「準国産エネルギー」:原発の燃料は輸入に頼っていることや燃料リサイクル実用化の見通しがいまもってまったくたっていないことから、この表現は間違っています。

「優れた安定供給性」:各種事故や災害で止まる原発は不安定なエネルギーです。

「運転コストが低廉」:原発は、平常時においても、建設費用、設備投資を含めた場合、発電コストは相対的に高い発電です。またひとたび過酷事故が起きれば、修復不可能な被害をもたらします。東京電力福島第一原子力発電所の事故による金銭的な被害は数十兆円以上といわれています。

「安全性を全てに優先させ」(P65、2123行)るのであれば、事故の真の原因究明も事故処理も果たされていない中で定められた規制基準で原発の再稼働方針を掲げることはできないはずです。

 

<意見2>

■意見の該当箇所

1.東京電力福島第一原子力発電所事故後10年の歩み

■意見

東電福島第一原子力発電所の廃炉作業、ALPS処理水等に関するあらゆる情報は、高い透明性と迅速性をもって公表することが必要である旨、記述してください。

■理由

ネガティブ情報は正しく速やかに公開することが極めて重要です。東京電力によりALPS処理水濾過フィルターの不具合の情報が放置されていたようなことが今後起きないよう、国は監督管理を厳格にするべきです。

 

<意見3>

■意見の該当箇所

5.2050年を見据えた2030年に向けた政策対応 (8)水素社会実現に向けた取組の抜本強化

■意見

水素、アンモニアの日本国内でのサプライチェーン構築を積極的に目指し、海外依存による運送にかかるCO2を減らす政策に変換することが重要である旨、記述してください。

■理由

日本には、高度で世界に先駆けた水素製造、アンモニア精製技術があります。カーボンニュートラルに向けて重要なエネルギー源として、国内供給を積極的に進めることが重要です。

 

<意見4>

■意見の該当箇所

5.2050年を見据えた2030年に向けた政策対応 (6)原子力政策の再構築 ③対策を将来へ先送りせず、着実に進める取組 (b)核燃料リサイクル政策の推進 (ア)再処理やプルサーマル等の推進

■意見

核燃料サイクル政策は相次ぐトラブルでまったく将来の見通しがたっておらず、すでに破たんしています。核燃料リサイクルの推進を掲げることをやめるべきです。

■理由

米国はじめ諸外国がすでに中止しているプルサーマル計画に巨額なコストを注いで推進することはやめるべきです。その予算を廃炉技術やトリチウム分離技術の研究、環境に優しい安全なエネルギー開発に振り向けてください。

 

<意見5>

■意見の該当箇所

5.2050年を見据えた2030年に向けた政策対応 (7)火力発電の今後の在り方 及び (13)2030年度におけるエネルギー需給の見通し

■意見

石炭火力は、2030年を待たず速やかにゼロを目指すべきです。

■理由

「再生可能エネルギーを最大限導入する中で、調整電源としての役割が期待される」(P36、1160行)という位置づけで、2030年の電源構成における石炭火力の割合を19%としています(P106、3587行)が、化石燃料である、石炭、液化天然ガス(LNG)、石油は、それぞれのCO2排出量などが異なります。石炭火力発電の維持はCO2排出を容認するもので、国際的に見ても政策として掲げるにはふさわしくありません。徹底した脱炭素化への移行の中で、特にCO2排出量の多い石炭火力発電は、LNGや石油よりも廃止のスピードを速めてください。

 

<意見6>

■意見の該当箇所

4.2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応 (3)電力部門に求められる取組
及び
5.2050年を見据えた2030年に向けた政策対応 (13)2030年度におけるエネルギー需給の見通し

■意見

2030年度における再生可能エネルギーの比率の目標値をEU並みの(EUは65%)60%としてください。

■理由

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、その道筋を確かなものとする2030年における目標値を掲げ、再生可能エネルギーの比率拡大のために強力な政策的後押しをすることを計画の中で明確に表明してください。

 

<意見7>

■意見の該当箇所

5.2050年を見据えた2030年に向けた政策対応 (13)2030年度におけるエネルギー需給の見通し  (11)エネルギーシステム改革の更なる推進 ①脱炭素化の中での安定供給の実現に向けた電力システムの構築に向けた取組 (a)供給力確保のための強化策及び枠組の検討

■意見

非化石価値取引市場における消費者が選択するための分かりやすい情報提供と、再生可能エネルギーの拡大を手助けするための新しい制度設計の必要性につき言及してください。

■理由

「2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、エネルギー需給構造のこれまでにない変化への対応が求められていく」(3086行)中で、「再エネ価値取引市場の創設などを含めた制度全体の抜本的な見直しを行う」(3146行)ことに賛同します。制度設計を進めるにあたっては、消費者が選択するための分かりやすい情報提供と、再生可能エネルギーの拡大を手助けするための新しい制度設計を希望します。

以上